〒674-0059 兵庫県明石市大久保町茜2丁目4−19
あかね歯科クリニック
歯科医師・院長 中田和甫史
公開日:2026年9月1日
最終更新日:2026年9月1日
こんにちは(^^♪
明石市大久保町の歯医者、あかね歯科クリニック院長の中田です。

「子どもがいつも口をポカンと開けている」
「気がつくと口呼吸をしている」
「食べるのが早い、あまり噛んでいない」
「飲み込むときに口の周りに力が入っている」
お子さんに、このような様子はありませんか?
実は、こうした何気ない日常の様子には、舌や唇、頬などの「お口の機能(口腔機能)」が関係していることがあります。
そして、お口の機能は歯並びや噛み合わせとも無関係ではありません。
今回は、
「なぜ口呼吸や舌の位置が歯並びと関係するの?」
という疑問について、さらに見落とされやすい「姿勢」との関係も含めて、歯科医師の立場から分かりやすくお話しします。

そもそも「口腔機能」とは?
お口には、歯で食べ物を噛む以外にも、
●食べる
●噛む
●飲み込む
●話す
●呼吸を助ける
など、さまざまな役割があります。
こうしたお口の働きを「口腔機能」といいます。
ところが、お子さんによっては成長の過程で、これらの機能が年齢相応に十分発達していないことがあります。
このような状態を「口腔機能発達不全症」と診断することがあります。
「口腔機能発達不全症」ってどんな状態?
「病気」と聞くと、
「痛いのかな?」
「見ればすぐ分かるのかな?」
と思われるかもしれません。
しかし、口腔機能の問題は、むし歯のように穴が開いたり、強い痛みが出たりするとは限りません。
そのため、保護者の方も気づかないまま成長しているケースがあります。
例えば、次のような様子がないでしょうか?
お子さんのお口の機能チェック

☑いつも口がポカンと開いている
☑口呼吸をしている
☑食べるのが極端に早い・遅い
☑あまり噛まずに飲み込む
☑一度にたくさん口へ詰め込む
☑食べこぼしが多い
☑偏食や食べむらが気になる
☑飲み込むときに口の周りに力が入る
☑舌が前に出る
☑発音・滑舌が気になる
☑指しゃぶりや舌の癖が続いている
☑いびきをかく
一つ当てはまったからといって、必ず口腔機能発達不全症というわけではありません。
しかし、いくつも当てはまる場合や長期間続いている場合には、歯だけでなく「お口の使い方」も一度確認してみることが大切です。
子どもの歯並びは「歯」だけで決まるわけではありません
「歯並びが悪くなるのは、顎が小さいから」
「歯が大きいから仕方がない」
と思われることがあります。
もちろん、歯の大きさや顎の骨格、遺伝的な要素なども関係します。
しかし、成長期のお子さんでは、それだけではありません。
私たちが診療で大切にしているのが、
「お口を普段どのように使っているか」
という視点です。
歯は、内側からは舌、外側からは唇や頬の力を受けています。
そのバランスの中で歯列が形成されていきます。

つまり、
舌・唇・頬・呼吸・飲み込み・食べ方なども、歯並びや噛み合わせを考えるうえで大切な要素です。
「口ぽかん・口呼吸」と歯並びの関係
特に注意したいのが、いつも口が開いている「口ぽかん」や口呼吸です。
通常、安静時には唇が閉じ、舌は上顎側の適切な位置にあることが望ましい状態です。
しかし、口呼吸が習慣化すると、呼吸のために口が開き、舌が低い位置になりやすくなります。
これを「低位舌(ていいぜつ)」と呼びます。
舌が本来の位置に収まりにくい状態が続くと、舌・唇・頬から歯列にかかる力のバランスが変わり、成長期の顎や歯並びにも影響する可能性があります。
そのため、歯並びを見るときに歯だけを見るのではなく、
「普段、口が閉じているか」
「鼻で呼吸できているか」
「舌はどこにあるか」
といった部分も確認することが大切だと考えています。
歯並びを考えるうえで「舌」が重要な理由
お子さんの口腔機能を見るうえで、特に重要なのが舌の動きと位置です。
例えば、
「よく噛んでね」
「ゆっくり食べてね」
と何度言っても、なかなか改善しないお子さんがいます。
これは単に「言うことを聞かない」「食べ方が雑」という問題ではないかもしれません。
一口量が多すぎたり、スプーンが大きすぎたり、食事環境が合っていなかったりする場合もあります。
さらに、
舌をうまく動かせていないため、十分に噛んだり飲み込んだりすることが難しい
可能性も考えられます。
大切なのは、表面に現れている行動だけを注意するのではなく、
「なぜ、この食べ方になっているのだろう?」
と原因を考えることです。
飲み込むときに口の周りへ力が入っていませんか?
食べ物や唾液を飲み込むとき、お子さんの顔を見てみてください。
唇をギュッと閉じたり、口の周りの筋肉に強く力が入ったりしていないでしょうか?
成長に伴って成熟した飲み込み方を獲得していきますが、舌を前方へ押し出すような飲み込み方が残っていることがあります。
このような場合、舌だけでなく唇や口の周囲の筋肉を必要以上に使って飲み込んでいることがあります。
こうした癖が長く続く場合には、舌の動きや飲み込み方を確認することも重要です。
実は「姿勢」もお口の機能と無関係ではありません
そして、ここで注目したいのが姿勢です。
「歯医者さんなのに姿勢を見るの?」
と思われるかもしれません。
しかし、食べる・噛む・飲み込むといった動作は、口だけが単独で行っているわけではありません。
頭や首、体幹などを含めた身体の安定も大切です。

特に食事中、
足が床につかずブラブラしている状態
になっていないでしょうか?
足元が安定せず姿勢が崩れている状態では、食事中の身体も安定しにくくなります。
お子さんが食事をする椅子では、
「足の裏が床や足台にしっかりついているか」
を一度確認してみてください。

「足がつく食事環境」を作ってあげましょう
例えば、大人用のダイニングチェアに小さなお子さんを座らせると、足が床まで届かずブラブラしてしまうことがあります。
その場合は、
足台などを利用して、足の裏でしっかり身体を支えられる環境を作る
ことをおすすめします。

「よく噛もうね」
「姿勢を良くしようか」
と伝えるだけではなく、自然に良い姿勢を取りやすい環境を大人が整えてあげることも大切です。
毎日の食事は、お口の機能を育てる大切な時間でもあります。
歯並びが悪くなってからではなく「育てる」という考え方
従来は、
歯並びが悪くなった → 矯正治療をする
という考え方が一般的でした。
もちろん、必要な場合には矯正治療が重要です。
しかし、それだけではなく、
「成長期に正しいお口の機能を身につけること」
も大切だと考えています。
口呼吸、舌の癖、飲み込み方、食べ方、姿勢などに気になる部分があれば、早い段階からお子さんの成長に合わせて確認していく。
これは、お口を正しく使えるように育てていくという考え方です。
お口のトレーニング「MFT」とは?
お口の機能に問題がある場合、状態に応じてMFT(口腔筋機能療法)と呼ばれるトレーニングを行うことがあります。
MFTでは、
●舌の正しい位置を覚える
●舌を適切に動かす
●唇を閉じる力を育てる
●正しい飲み込み方を身につける
●お口周りの筋肉をバランスよく使う
など、お子さんの状態に応じた練習を行います。

ただし、すべてのお子さんに同じトレーニングを行えばよいわけではありません。
その子が「なぜ口を開けているのか」「なぜ舌が下がっているのか」を確認することが先です。
例えば、鼻づまりや扁桃などが関係している可能性があれば、歯科だけで解決しようとせず、必要に応じて他科との連携を検討することも大切です。
【セルフチェック】
お子さんに次のような様子が続いていないか、ぜひ確認してみてください。
□ テレビを見ているとき、いつも口が開いている
□ 寝ているときに口が開いている
□ 口呼吸が気になる
□ いびきをかく
□ 舌がいつも下にあるように見える
□ 食べるのが極端に早い・遅い
□ あまり噛まずに飲み込んでいる
□ 一度にたくさん口へ詰め込む
□ 飲み込むときに口の周りに力が入る
□ 発音・滑舌が気になる
□ 食事中の姿勢が崩れやすい
□ 足をブラブラさせながら食べている
当てはまる項目があるからといって、必ず治療が必要というわけではありませんが、成長の途中で「お口の使い方」に気づいてあげることが重要です。
妊娠中から考える「お口を育てる」ということ
前回のブログでは、妊娠中のお母さんの姿勢と将来のお子さんのお口の発達についても触れました。
参考ブログ:妊娠中の姿勢がお腹の赤ちゃんに影響?将来の歯並びや口呼吸との関係
お子さんのお口の発達には、出生後の授乳、離乳食、食べ方、呼吸、舌や唇の使い方、生活環境など、さまざまな要素が関係します。
だからこそ、歯が生えてからむし歯だけを見るのではなく、赤ちゃんの頃から「お口がどのように育っているか」を見守ることが大切だと考えています。
明石市大久保町・あかね歯科クリニックの「お口を育てる」取り組み

明石市大久保町のあかね歯科クリニックでは、むし歯ができてから治療するのではなく、お子さんのお口を健康に育てていくことを大切にしています。
必要なお子さんには、
●口呼吸・口ぽかんへのアプローチ
●舌や唇などのお口周りの機能の確認
●MFT(口腔筋機能療法)
●食べ方・飲み込み方のアドバイス
●ご家庭でできるトレーニング
●歯並び・噛み合わせの継続的な確認
などを、お子さんの成長に合わせて行っています。
お口の機能は、1回のトレーニングだけで変わるものではありません。
だからこそ、定期検診を通して成長を継続的に見守り、ご家庭と歯科医院が一緒になってお子さんのお口を育てていくことを大切にしています。
まとめ
「いつも口が開いているけれど、痛くないから大丈夫」
「そのうち自然に治るかな」
そう思われる方も多いかもしれません。
しかし、子どものお口を見るときに大切なのは、むし歯があるかどうかだけではありません。
食べる。
噛む。
飲み込む。
話す。
鼻で呼吸する。
そして、そのために舌や唇を適切に使う。
こうした一つひとつの機能を成長に合わせて身につけていくことも、お子さんのお口の健康にとって大切です。
そして、その積み重ねは、将来の歯並びや噛み合わせを考えるうえでも重要です。
お子さんの
「口ぽかん」
「口呼吸」
「舌の位置」
「食べ方」
「飲み込み方」
などが気になる場合は、ぜひ一度ご相談ください。
明石市大久保町のあかね歯科クリニックでは、「悪くなってから治す」だけではなく、「健康なお口を育てる予防歯科」を大切にしています。
お子さんが将来も健康なお口で過ごせるよう、一緒に成長を見守っていきましょう(^^♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考資料
・日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」
・厚生労働省 口腔機能発達不全症に関する資料
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